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心臓カテーテル手術を受ける(前編) [身体]

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 年末に地元の病院で心臓カテーテル手術を受けた。昨年9月ごろから脈の乱れが目立ち始め、具合が悪い日が増えた。夕方ごろになると数回に1回の割合で脈が飛び、息苦しさを覚えた。ただし、外出しているときには感じない。近所にある循環器も診るK内科医院に行って24時間心電図計で状態を計測したところ、23%の割合で不整脈が発生していることがわかった。一日約10万回打つという脈拍のうち、2万3000回だ。その後、いい状態と悪い状態を繰り返すためしばらく様子を見ていたが、昨年7月の段階で25%台に至り、つまり4回に1回の割合になった。

 25%は手術を行なう目安であり、心臓カテーテル・アブレーション手術をやったほうがいいだろうということになる。具体的な病名を聞いたところ「心室性期外収縮」だという。K医師は手術はそれほどたいへんではないと言う。私は母親が昨年に同様の手術を受けており、どういうものかは分かっていた。カテーテル手術の世界で有名かつ優秀なS医師がいる大学病院への紹介状を書いてもらい、すぐに受診した。

 その後も良好と不良が交互にあり、様子見が続く。手術のときに症状が出ていないと、確認しながらの治療ができないためだ。年に2、3人、手術当日に症状が消えてしまう患者がいるという。12月初旬の計測で頻度が高かったため、手術をすることが決まり、手術日が設定された。12月に入って状態は芳しくない。こちらとしては、早く済ませてしまいたいのと、できればやりたくない気持ちが混じった複雑な心境だった。中学生時代に盲腸を切って以来の手術。しかも、心臓である。不安のため気が滅入ったが、時間は容赦なく過ぎ、とうとう入院の日がきた。スケジュールは、25日に入院、26日に手術、27日に退院だ。

 入院するまで、医師による病名の提示や手術に関する細かい説明はなかった。同じくカテーテルアブレーションを受けた友人の静岡在住のT君に様子を聞くと、手術自体はあれよあれよという間に終わるが、その後の安静状態が面倒だとのことだった。

 入院日は受付で10万円の預り金を収め、高額医療費制度のカードを提示した。病棟に上がり、担当看護師の説明などを聞き、病室に入った。計測データを無線でナースステーションに飛ばす小型の心電図計を装着する。次に担当チームの一人N医師から手術概要の説明を受け、診療計画書や治療方法や合併症などが記された書類を受け取り、同意書などにサインした。病名はK医師の診断どおり「心室性期外収縮」とのことだった。ちなみに、書類には「手術」とは記されておらず、「心臓カテーテル検査(心臓電気生理検査)」と「心臓カテーテル治療(高周波カテーテルアブレーション)」になっていた。局所麻酔をし、足の付根の動脈にシースという管を留置し、そこから太さ1-2mmほどのカテーテル(管)を心臓まで通して治療(心筋を焼灼)する。

 看護師からこの3日間のスケジュールの詳細が記載されたプリントを渡される。その後、心電図計測とレントゲン、採血などが行われた。シャワーを浴びる前に電動バリカンを渡され、脱衣所で陰毛と腿の毛を自分で剃った。毛を剃った陰茎はとても情けない姿。夕食後、腕に点滴の管を留置する。このとき、不整脈の頻度は50%に上がっており、担当チームの医師に心当たりを訊かれたが、自分でも見当がつかず。少し風邪気味のようで、ときどき熱っぽい。もしかしたら、更年期障害なのかとも思う。患者気分がないまま、夜を迎える。

 手術当日は朝食抜き。7時頃に看護師がやって来て点滴を開始。点滴をするのは人生初だ。8時に寝間着から病院着に着替え、前開きになるパンツと膝下を締め付ける弾性ストッキングをはき、陰茎にコンドーム型尿器を付けられた。この尿器により、のちほど苦しい思いをすることになる。

 手術は8時半から開始される。循環器科ではこの日3人の手術が予定されており、理由は不明だが順番は一番最初になった。待つよりもとっとと済ませたほうがいいので、よかった。車イスの乗せられ、看護師に押されて手術室に向かう。車イスに乗るのも初めてだ。病室から手術室まではけっこう距離があったため、車イスになったのだろう。後ろにS医師らが一緒に話しながらついてきた。手術室のドアはセキュリティがかかっている。ビニールのカバーを頭に被り、扉が開いて入ると、6つほどの手術室が集まっているのがわかる。見たことがない機材が並んでおり、たくさんのスタッフがそれぞれの部屋で慌ただしく準備をしていた。車イスはその中のいちばん奥の部屋に入った。

 手術台の前に止められ、そこからゆっくり手術台に腰掛ける。紺色の服を着た若いスタッフ数人に囲まれ、胸や背中にパッドのようなさまざまな機器をベタベタと貼り付け、寝かされた。両足と両手を幅広いバンドのようなもので抑制される。この状態をまともに感じたら不快なので、なるべく意識しないようにする。もはや「まな板の上の鯉」状態になって諦めるしかない。抗うことは手術中止を意味し、どうすることもできないのだ。もう「なるようになれ」という気分。仰向けの状態なので、顔の横方向、胸の上1mくらいのところで動作する機器、あとは天井しか視野に入らない。手術台の左横には80インチくらいの巨大な液晶モニターがあり、さまざまな情報を表示している。ちょっとしたSF映画である。

 医師がやって来て、手術を始めるというようなことを言う。麻酔を徐々にかけて、途中から眠くなるとのこと。眠くなったら言ってください、と看護師に言われる。緊張のせいか、喉が渇く。看護師に水を飲めるか訊ねると、医師に確認のうえ、ストローで冷たい水を飲ませてくれた。手術中は飲めないが、要求すると、湿らせた脱脂綿を口につけてくれてだいぶ助かった。

 口に酸素マスクを付けられ、足の付け根に麻酔注射を打たれる。その後カテーテルを動脈に挿入する。挿入したときに鈍痛があり、直後に頻脈が発生した。機器が異常を知らせるような音を発し、医師たちは少し慌てるが、脈はすぐに落ち着いた。異物が入った体が動揺したのだろうか、理由は不明だ。S医師はコントロールルームのようなところにいるらしく、スピーカーごしに執刀医師に指示を出す。S医師は自ら執刀せず、指導的立場だった。「若手医師の育成」という文字が頭に浮かぶ。大学病院であれば、たぶんそういうことなのだろう。

 心臓の状態を把握するために造影剤を血管に流し込む。造影剤が入ると、背中から尻の上あたりまでじわっと熱くなる。その後カテーテルで不整脈の発生個所を調べる。手術は、発生個所を調べる「検査」と発生個所を焼く「治療」、ほかに余計な発生は起きないかの「チェック」の三段階で行われる。ポイントを探りながら、ここは20%、そこは26%だとか、心筋の確認作業が続く。心臓になにかが入った感覚はほとんどない。麻酔が効いてきたせいか意識が少し薄くなったが、医師らのやり取りはだいたい分かった。発生個所が特定できたらしく、いよいよアブレーションが始まる(電極で心筋の異常な部位を焼灼する=低温やけどのような状態)。少し痛みがありますと言われ、身構えていると、背中から胸前面に経験したことがない重い痛みがこみ上げてくる。熱い溶岩が胸全体を押し上げるようだった。アブレーションのスイッチはS医師が入れるらしい。ほんの数秒間だが、苦しさで思わずのけぞる。それが4回ほど繰り返された。
 
 アブレーションが済んだ後も、ほかの個所からの不整脈発生の可能性がないかどうかをチェックするため、任意の処置により動悸が起きた。女性医師に交代し、なにやら手技の試しのようなことを行なっていた。「あまり上の方をごりごりやらないように」などと、S医師から指導が入る。カテーテルでなにを試しているのかは不明。「◯◯をしようとしているのね」とS医師が言う。女性医師が「そうです」と答えた。少し不安になったが、チェックの一環だったのだろうか。

 2時間ほどで手術は終わる。短く感じられたので、どこかで少し眠ったのかもしれない。動脈の挿入口は綿のようなもので押さえて圧迫し、腿から尻にかけてテーピングされた。大きな液晶モニターの一部に心室の一部が3Dで映し出されており、心筋上の患部は虹色の等高線で表示する。胸の上で円弧状に動いていた機器はX線装置(CTスキャン)らしい。男性の医師が、不整脈はまったく出ていないという。手術台の横に来たS医師に声をかけられる。噛み合わない返事をし、ベッドに移されてそのまま病室に運ばれた。

※不整脈とアブレーションについては以下のサイトが分かりやすい。
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/treatment/ablation.html 

 
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