So-net無料ブログ作成

画家のかたち 情熱のかたち [美術]

20100821_gakanokatachi.png

 三鷹市美術ギャラリーで「画家のかたち 情熱のかたち」展を見た。桜井浜江、田中田鶴子、高島野十郎、ラインハルト・サビエの4人の画家の作品による展覧会。出品されたのは三鷹市の収蔵作品だ。
 桜井浜江は三鷹市に住んで制作を続けた人で、2007年に亡くなっている(享年98歳)。住んでいたのは、禅林寺通りの竹で囲まれたあの風変わりな家だ。緑の竹の葉で周囲をすっぽり囲まれた住宅は不思議なたたずまいで、私も何度か写真に収めた。そのときは、そこが桜井浜江の住居兼アトリエだとは知らなかった。東美堂の店主によれば、晩年はなかなか筆をとることが難しくなっていたという。
 三岸節子とともに女流画家協会を立ち上げた桜井は、三岸同様、大きく大胆な絵を精力的に描いた。かたちがダイナミックに動き、厚塗りで直感的。情熱か、衝動か、ナイフで強く絵の具を定着させている。「波」や「海」といったタイトルの作品がいくつかあった。いずれも自然のダイナミズムに根ざした絵だ。大胆だがたんねんに色を置いている。40代に描いた人物画2点は、深みのある色彩でヨーロッパの宗教画のようでもあり、異彩を放っていた。
 田中田鶴子はモダンだ。初期は、不思議な形態と抑制した色彩を探求している。今回は紙にアクリルの作品が多く展示された。形態と色彩が自由に動く。この世代の人らしく、力の抜け方がいい。
 高島野十郎は、蝋燭の連作で知られるようになった画家。千葉の住み処で描いた、1本の蝋燭の炎を描いた絵。テーブルとモチーフと背景のシンプルな構図。実はこれがけっこう難しい。2点のリンゴの絵に、画家の力量が現れている。対象に向かう姿勢。見る仕事。
 ラインハルト・サビエの「キリストの顔」は以前もどこかで見た。男の顔をリアリスティックな技法で大きく描き、実物のセーターを張り付けている。顔は苦悩でゆがんでいるのか、悲しみか、思い煩うような表情。黒い額縁。彼の絵に刻まれているものはなにか。世界で起きた、あるいは現在も進行する行為において、人間が作り出す冷たさ。荒涼たる空間と不安定な時間。
 まったく世界が異なる4人の作家なので、展覧会のタイトルの枠には収まらない展示内容となった。同美術館としては、実験的な試みだったのだろう。じっくり滞留して作品を見るような来場者は少なく、市民受けするとは思えないが、このような展示を続けることは重要だ。若い市民に衝撃を与える展示ができるようになればいいと思う。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 0

コメント 0

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。