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MRI検査を受ける [身体]

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 今週の水曜日、近くの病院でMRI(核磁気共鳴画像法)検査を受けた。先々週の金曜日の夜に起きた記憶喪失が脳の物理的な異常によるものなのかを調べるためだ。MRI検査を受けるのは初めて。
 受付けを済ませ、更衣室で検査着に着替えて待つと、すぐに技師に呼ばれた。検査室に入り、簡単な説明を受け、円形の機器の前にあるベッドに横になり、頭をくぼみに固定された。さらに、頭が動かないように顔の側面にクッションを詰める。そのうえに、ホッケーのゴーグルのようなものが被せられ、視界が狭まる。ベッドが動いて機器の中にセットされた。バスドラとリムショットのような音が拍を刻み続けている。ゴーグル越しに見えるのは、MRIの白い内部と縦に一本走る青い線。雰囲気的には、「2001年宇宙の旅」に登場する宇宙船の内部のようなのだが、これから何が起きるのか少し不安になる。
 検査は、めくるめく電子音楽の世界だった。ピーとかビーとか、ガガガガといった各種の電子音が無音状態をはさみながら繰り返される。シンセサイザーを使っている人ならおなじみの、ノコギリ波、三角波、サイン波など。それらの音が鳴るたびに、脳をスキャンしているということなのだろう。以前聞いた話では、MRIはゴンゴンすごい音がするということだったが、実際にはそういうものではなかった。音量もそれほど大きくない。もちろん、音がするだけで頭はなにも感じない。
 女性の検査技士は10〜15分ほどで終わりますと言っていたが、スキャニングしている時間はそれ以上に長く感じた。左手には具合が悪くなったときに押すスイッチを持たされており、実は何度かそれを押しそうになる(脳神経外科の医師は、具合悪くなったら気軽に押していいと言っていた)。神経症の人間にはきつい検査なのだ。事前の問診票には閉所恐怖の有無の項目があった。私は閉所恐怖症ではないが、神経症はそれに似たようなものであり、頭を固定されるという状況が不安を増大させる。こうなると、ほとんど犬猫と同じである。動物がこういう状況に置かれたらパニックになるのは必至だ。神経症は動物に帰ることかなどと思い、心を落ち着かせるために目をつぶっていた。
 我慢を重ねていると、最後にサイン波がゆっくりと二度続き、技師の「終了です」というアナウンスが聞こえた。ベッドが元の位置に水平に動く。技師に具合を聞かれ、大丈夫と答えて検査室を出た。実際はけっこうまいっていた。そのあと総合受付に書類を渡し、少し待って、脳神経外科の医師の診断を受けた。
 医師の前のモニターには早速撮ったばかりのMRIの画像が表示されている。自分の脳の断面と初めて対面する。いずれもモノクロの、鮮明な断面、ちょっと暗めの断面、血管の3D画像をざっと一緒に見て、異常はないという。いたって健康な脳というような言い方だった。その言葉を聞いて安堵する。医師の説明に、安堵したことを示すように何度も返事をした。医師は私の前にも数名の患者を診察をしているわけで、MRIの画像をどれほど詳細に見たのか気にはなったが、専門家だからサクッと見て判断できるのだろうと思う。正直なところ、MRI検査を終えたときのほうがよほど安堵したのだ。なんとも本末転倒である。
 医師の診断では、やはり「一過性全健忘」だろうとのことだった。一時的な記憶喪失であり、通常は一度きりしか起こらず、経過観察で問題はないらしい。原因はよくわかっていない。もし記憶喪失がもう一度起きたり、なにか症状が出るようだったら再度来るように言われる。医師に、このMRI画像はどのくらい保管されるのかと質問してみた。はっきりした期間は言わなかったが、数年間あるいはかなり長期間保管されるらしい。試しに、画像をもらえるかと聞くと、費用は数百円かかるがCD-Rに焼いて渡すことは可能だとのこと。総合受付で精算を済ませる。検査費用は7,100円だった。CD-Rを受け取って病院を後にした。
 健忘の原因はともかく、物理的には健康な脳であることが証明されたわけで、多少は気分が晴れた。残るは精神の動きだけだが、こればかりはどんな機器を使ってもスキャンできないだろう。自宅のパソコンで自分の脳の断面画像(低解像度のJPEG)をあらためて見る。いびつな形を含め、なんだか自分の頭とは思えない。私の脳は、実感をもって自らの姿を認識しないようだ。
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