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松竹大歌舞伎 [芸能]

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 三鷹市公会堂で松竹大歌舞伎を観る。演目は「恋女房染分手綱 重の井子別れ」と「勧進帳」。定番の後者は知っていたが、「子別れ」もすでにテレビで観たことがあった。私は生の歌舞伎を観るのは今回が初めてだ。幕が開いて、4人の腰元が明るい舞台に並んで座って現れた。このシンプルな演出で、すうっと物語りの世界へ引き込まれる。右側の高座に三味線と浄瑠璃が座っているのは珍しかった。
 「重の井子別れ」は、姫の乳母が生き別れた我が子に偶然出会う話。乳母・重の井は姫への忠義と母性の間で揺れ動くが、結局馬子である息子・三吉との別れを選ぶ。三吉の役は、9歳の秋山悠介君。この一幕は三吉がほとんど出ずっぱりとなる。小さな子どものいたいけな台詞が涙を誘う。書き割りを含め演出は別段変わったものではなかったが、ほろりとくる悲話。
 「勧進帳」の弁慶は松本幸四郎、義経は重の井を演じた中村魁春。松本幸四郎の弁慶は誇張なく、正々堂々たる様式美となっていた。しかしながら勧進帳は私の中で、黒澤明監督の「虎の尾を踏む男達」のイメージが逆に強い。歌舞伎と映画では土台がまるで違うのだが、どうしても比較して観てしまう。例えば、弁慶が勧進帳を読み上げる場面、義経を金剛杖で打ち据える場面、詮議が終わって一行が一休みする場面など、映画の演出のほうが理にかなっていて面白い。それはそうだろう、なにしろ「虎の尾」のほうは背景や描写が自在で俳優は大河内傳次郎からエノケンまでも出演しており、笑いの要素もある。
 歌舞伎はやはり所作がいい。わずかな所作から感情を読み取る。筋運びはあくまでなめらか。いうなれば、時間さえも様式化している。歌舞伎座で観劇するとまた一段といいのだろう。見どころは「子別れ」のほうに多かったが、松本幸四郎の見得をもっと間近で見たいとも思った。
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