So-net無料ブログ作成
検索選択

山崎阿弥の個展「マイビークル|ホワイト カラード ブラックホール」 [ART]

20140506_yamazaki1.jpg


 連休の最終日、ぎゃらりー由芽で山崎阿弥の個展「マイビークル|ホワイト カラード ブラックホール」を見る。
 三角形の紙を中央で折り、鳥の羽根のように密集させた作品。DMを見たときは石膏のようなものだと思っていたが、実際には紙だった。コピー用紙やトレーシングペーパーなど数種類の紙を用い、手でちぎって貼り込んでいる。木製のフレーム内に植えられたたくさんの羽根。あるいは動物の体毛のようにも見えた。
 羽根は反復や並列的な同一性としてミニマリズムに通じる。例えば、草間彌生のInfiniteシリーズのように。しかしこの羽根はそれに収まらず、なにかに翻弄されるかのように波打っている。そして、その動きを氷結で固めてしまったかのようだ。
 ここにあるのは、情動か、閉じ込められた動物のエネルギーか、それとも永久に波打つ草原のような風景だろうか。作品は見る者を引きつける力を備えており、私は無限に続く恒久性を感じた。一つひとつの羽根は絵画でいえば、筆のタッチにあたるのかもしれない。だが山崎のタッチは、見る者との対話を拒絶しているように思える。前述したように、動きを封じ込めてしまっているからだ。木のフレームで囲われたそこだけ時間が止まっている。いや、止めることで永遠を手に入れたのか。
 個展のタイトルからすると、作家は私の見立てとはまったく別の地点から本作を出発させていることは明らかだ。もしかしたら、この羽根で世界を覆いつくしたい欲望にかられての行為かもしれないし、おそるべき攻撃性を埋め込んでいることも考えられる。一つだけ確かなのは、この世界には想像を超えた「風」が吹いているということ。根拠なく、あらゆる方向から吹く風。それは地上だけとは限らない。宇宙空間や動物の体内であっても同じだ。
 作家とは会わなかったため、言葉はなく、吹き荒れる風にざわめく羽根を感じながら画廊を後にした。密かに、出色の展示だったと思っている。


20140506_yamazaki2.jpg

細野晴臣コンサート2014 [音楽]

20140501_Hosono_Shinjuku2.jpg

 「細野晴臣コンサート2014」に行く。会場は新宿文化センターの大ホール。
 7時開演。細野さんはハットに黒いサングラス、グレーのシャツを腕まくりし、ベストを着て登場。主にカントリー&ウエスタン、そしてR&B、フォークソング、ポップスなどを立て続け歌う。3、4曲ほど歌って、帽子とサングラスを外した。ライブを愉しんでいて、調子はよさそうだ。途中にMCをはさんで次々に演奏した。
 細野さんはボーカルとギター。バックメンバーは、ギターとスチールギターが高田漣、ドラムスが伊藤大地、ウッドベース/ベースが伊賀航と、みな若手だ。バックのギターとベース以外はアコースティック。バンド・サウンドはこなれており、このメンバー編成ですでに5年だという(高田と伊賀の組み合わせでは9年)。途中からピアノとアコーデオンのコシミハル、ギターの徳武弘文が加わった。1曲の長さは2分半から3分ほどと短い。
 さて、とにかくこの夜の細野さんは渋くてかっこよかった。そしてどことなく軽妙洒脱。本人が「どうしても明るくなっちゃうんですよね」と言っていたとおり、グレーの色彩を放ちながらポジティブなスピリットがみなぎる。私は、はっぴいえんどやティン・パン・アレー、YMOとその前後のソロ、さまざまなアーチストのアルバムで担当したベースや作曲など、細野さんのいろいろな仕事を30年以上聴いてきた。それでも、新宿文化センターでこの音楽家の新たな面を見た気がした。根っからの音楽家であり、エレクトリックからアコースティックまで相当深い階調をもった多面性を備えている。
 私はカントリーミュージックや古いR&B、フォークソングをほとんど知らない。そのため、曲のジャンルに関してはまったく見当がつかなかった。それでも細野さんが演奏するアメリカのルーツミュージックを受け入れる準備はできていた。ジャンルは少し異なるが、久保田麻琴との共作「Road to Louisiana」(1999年)を長年愛聴していたからだ。今回の演奏を聴いて、アメリカの古い音楽のよさに気がつく。これは細野さんのスピリットと独特の歌声によるところが大きい。また、メンバーに力量があり、この類の音楽が東京でも十分成立することは貴重なことだと思う。
 照明はRYU。ステージに立てられたスタンド型のライトが主で、シンプルなライティングだった。舞台照明というのはときどき、目を見張るような美しい明暗をつくり出す。RYUの照明は細野さんの渋くて豊かな音楽の輪郭を際立たせた。ホリゾントの色もよかった。
 演奏した曲は前述したジャンルのほか、2001年宇宙の旅でも使われた「Daisy Bell」、ボブ・ディランの「Too Much Of Nothing」、ビートルズの「Dear Prudence」、アンコールで「香港Blues」「はらいそ」など。細野さんのオリジナル曲は「ラッキスター」「POM POM JOKI」「BODY SNATCHERS」「香港Blues」「はらいそ」だっただろうか。毎回のMCもユーモアがあり、はっぴいえんどのころの驚きのエピソードなどを含め、観客を愉しませた。細野流のエンターテインメントはエキゾチックで和やか。粋な東京人が奏でる上質な音楽を味わう夜だった。

20140501_Hosono_Shinjuku1.jpg

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。